横浜市内にお住まいのM様よりご質問いただきましたので、お答えします。
まず、ヘルニアになってしまった原因ですが、順を追って説明してゆきます。
ここでは腰椎椎間板ヘルニアについてご説明します。(ヘルニアには鼠径部ヘルニア(脱腸)もありますので区
別します。)
正常な背骨の配列に何らかの原因(悪い姿勢が長期間続いた結果、スポーツなどで背骨に負担がかかりすぎた、な
ど・・・)により歪みが生じた結果、背骨(腰椎4番と5番の間が好発部位です)と背骨の間にある椎間板という
クッション(軟骨組織)に無理な圧力がかかり、ついには圧力に耐えきれなくなってクッションの表面が破れて内
部組織が飛びだしてしまう状態をヘルニアと呼びます。
そして、ただヘルニアが飛び出しただけでは足の痛みやしびれは発生しません。
飛び出した組織が固まってしまい、それが背骨の後部から延びる神経に触れるようになってしまうと、違和感、し
びれ、痛みなど様々な症状に発展します。
そういう意味では、たとえヘルニアがあっても、背骨の前部に出ているケースや、ヘルニア部分が極端に大きくな
いケースなどでは、神経を圧迫するまでに至りませんから、患者様本人としての自覚症状が全く発生しないことも
多々あります。
ですから「ヘルニアの手術」というのは、腰椎椎間板ヘルニアの飛び出した軟骨組織を切除することを行います。
最近では内視鏡手術下においての手術のみで、軟骨組織を吸引してしまうようなハイレベルの手術もあるので、
患者様の体への負担は減ってきているようです(保険は効かないやり方のようですが)。
では、飛び出した軟骨を切除するとどうなるのか?
人にもよりますが、切った瞬間から痛みやしびれから解放される、というケースがかなりあるようで、このやり方
はかなり主流となりつつあるようです。
しかしそれでも痺れが残ってしまうケースも多々発生しているのはなぜでしょうか?
この手術の視点で行きますと、飛び出したヘルニアを切除してはいるものの、対症療法にすぎないとい
うことになります。
そもそも、なぜヘルニアになってしまったのか?という視点から根本治療をしているわけではないのです。
上記に書いたように、背骨の骨と骨の間に無理な圧力がかかるような状態の件に関しては何ら解決していないとい
うことになりますね。だから、ヘルニアは再発率も高く、人によっては一生のうち3回も手術した!なんてお話しも
ザラです。
手術してもしびれが取れない、ということは、手術をして改善された部分以外にも問題が残っていることを示して
います。
ですから、その「そもそも」の部分について改善していかなくてはなりません。要は歪みを取らなくてはならない
ということです。
誰かがゴミをすてっぱなしにする→臭いのでなんとかしたい→強力な消臭剤で臭いを消す→臭いが無くなり喜ぶ
→しかしまだゴミはそのまま!!!(さらにまた誰かがゴミを同じところに置く・・・)
という感じと同じですね。
手術は無事に成功していても、体の歪み自体は手術の前から存在したはずなので、その歪みを取り去らなくてはい
けません。
具体的には筋肉に長年しみついてしまった悪いクセを取り除くということです。
そして悪いクセの正体は一言で言ってしまえば、筋肉の使い方のアンバランスに他なりません。
アンバランスを例えると、トラックの荷台の片側だけに荷物をたっぷりと積んだ状態でハイスピードでコーナーを
曲がろうとするようなものです。危なくって仕方ありませんよね(笑)?
長く歩行すると足がしびれて足の裏の感覚がなくなっていく、ということは同じ筋肉にばかり頼って歩行している
から、その筋肉が音を上げているということなんです。ですから、他の筋肉も歩行に動員させるようにしてやれば
負担が分散されてしびれは和らいでくるはずのなのです。
当院では、足の筋肉のアンバランスを解消するような施術を行い、普段の生活で悪いクセを改善してゆけるような
効果の高い運動法をご指導いたします。
病院でも完全には復活しなかった。当院でもやっぱり無理だった。そんな風にしたくはありません。
M様の足の感覚が少しでも改善されるように、お会いする際には色々なアドバイスもさせていただきますので
どうかよろしくお願いします。
院長